時短への近道「テンプレート」と「データ」の関係を理解する

時短への近道「テンプレート」と「データ」の関係を理解する

脱「手作業での書き換え」で効率化

これまで何回もプログラミングの勉強をしようとして挫折をしています。抽象的すぎて腹落ちせず、途中で続けられなくなってしまうのです。

テクノロジーは進化し続けているはずなのに、ツールを作りたいという人たちへの入り口は本当に狭いままだと感じます。もちろんノーコードとかのツールが豊富に出てきてはいますが、それも「そのために覚えなければならないこと」がが多いなぁという印象です。

私は独立してからこのかた、ずっと「どうすれば自分でなければできない仕事以外を(半)自動化するか」、について考え続けてきました。

なにせ育児中の身ですから、とにかく時間がないのです。限られた時間で、どれだけ効率を上げて仕事をするかを常に考え続けざるを得ませんでした。まだまだひよっこ、道半ばではありますが、だいぶ「自分にしかできない仕事に集中する」体制を作りつつあるなと思っています。

効率化を進めるにあたって、一番の武器になったのは、システム会社に勤めていたときに身に着けた「テンプレート」と「データ」の関係性への理解です。いえ、正確に言えば、その前から「テンプレート」と「データ」の関係性には、なんとなく気づいていました。

でも、実際に常にこの視点で物事を見られるようになったのは、システムの会社でマーケティングの仕事をしているときだったのではないかと思います。徹夜が続くほど膨大な業務量に追い詰められて、仕事の時間を短くしなければならない必要に迫られ、この作法を身につけざるを得なかったのです。

こんなこと、情報系のバックグラウンドを持つ人にとっては当然のことなのかもしれません。しかし、少なくとも法学部卒で、営業や編集畑を歩いていた私は、30代になるまでこの「テンプレート」と「データ」ってやつの関係性を知りませんでした。もっと早く知っておけば…と悔やんでも仕方がないので、もしまだご存じでない方で、より自分の仕事を効率化したいと思う方に向けて、こちらの記事にまとめておきたいと思います。

「テンプレート」と「データ」の関係を適用すれば、これまでいちいち手作業で生成していたものを一気にまとめて処理することができます。この発見は、目から鱗でした。

個別の招待状1000通をボタン一つで生成する

たとえば、複数のお客様向けに、少しずつ内容の異なる新製品発表会の招待状を印刷し、発送しなければならないときのことを考えてみましょう。

この新製品発表会は1日に複数回開催されるので、送付する企業によって、記載する日時が違うものとします。

アウトプットはこのような形です。

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このアウトプットのうち、黄色に塗られた「会社名」「担当者名」「参加時間」の3か所の部分が相手によって変動する項目です。

一方、招待状を送る相手のリストはこのような形式になります。(本来の業務でしたら、郵送のための宛名ラベルの話も一緒にすべきですが、ここでは話を簡単にするためにいったん割愛します)

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これが5通ぐらいであれば、手作業で黄色の部分を書き換えるだけでいいのですが、100通、1000通となると手作業は難しいですよね。そんなときに便利なのが、「差し込み処理」です。

まず、アウトプットから「変わるところ」「変わらないところ」はどこかを精査し、「テンプレート化」しましょう。変わるところは、項目名などに置き換えるとそのあとの作業がしやすいと思います。

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もしもこの「差し込み処理」を、WordとExcelで実装するのであれば、Wordの機能で、リストのExcelデータをどこにはめ込むのかを指定することができます。

設定後ははめ込み印刷実行ボタンなどを押すと、自動的に、個別の情報がはめ込まれたドキュメントが出力されます。

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大まかな流れは以下のようになります。

(1)アウトプットのイメージから「変わるところ、変わらないところ」を精査して、「テンプレート」を作る。 (2)「データ」を用意して、どこにはめ込むのかを指示する。 (3)差し込む

というような流れです。

世のシステムの多くは、テンプレートとデータでできている

上記の例示は一番シンプルなものですが、世の中の業務システムの多くは、この「インプットされたデータをテンプレートに差し込んで表示する」という仕組みで成り立っています。

例えば請求書。請求書もやはりテンプレートにデータを当てはめて作成されるものの代表格です。

リストに記載されたデータを、1行ごとに、「会社名」「住所」「請求書番号」「請求日」「支払期限」「請求金額」「品目(※)」「単価(※)」「数量(※)」「価格(※)」(※の項目は複数個ある場合もある)、「小計」「消費税」「合計(再掲)」などの項目を、リストから抽出して1枚の紙(もしくはPDF)に並べたものです。

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世のウェブサイトや帳票などが、この「テンプレート」と「データ」による差し込みという原理で動いていることに気づくと、では自分の作業で「定型化」できるところはどこだろうか?それをなるべく自動でアウトプットするにはどのような工夫ができるだろうか?と考えることにつながっていきます。 少なくとも私はこの観点に気づいてから、無茶苦茶生産性が上がりました。何度か同じことが繰り返されることに気づくと、すぐ「ここは繰り返しだから共通化しちゃおう」という発想になるのです。

是非皆さんの毎日のお仕事でも「変わるところ」「変わらないところ」を仕分けして、効率化を進めていただければ嬉しいです。

(この項続きます)